省エネ性能について、どのレベルを目指すか迷ったときに分かりやすいのが、断熱等級やUa値といった目に見える数値(評価)です。補助金の兼ね合いもあり、お施主様から目指したい等級を指定されることも少なくありません。
それは決して悪いことではなく、むしろ明快ともいえると思います。一方で、等級を指定されたからといって断熱の仕様がそのまま決まるわけではないことも事実です。
例えば、スタイリストがある人のある日の服装をみて「80点の服装だ」と評価することがあっても、「80点の評価を得られる服を用意してください」と頼まれても、それはまた別の話になります。
どれだけオシャレな服を用意しても、サイズが合わない、顔の系統が合わない、骨格が合わないといったことで評価は変わります。逆に80点を目指すならもう少し手間を減らして節約できたのに、結果として100点になってしまうこともあるかもしれません。
住宅も同じです。同じ断熱等級であっても、窓の性能なのか、断熱材の仕様なのか、間取りが違うのか…といった多くの要素が関係するため、評価から設計を逆算ができません。
つまり評価というものは、設計結果について点数を付ける行為であり、設計結果を逆算できないもの(非可逆)だといえます。
そのため設計者が断熱等級(評価)を指定されたときに行う設計は
仮設計→計算→再設計→再計算→再設計
を繰り返す作業になり、試行錯誤の繰り返しです。それが「断熱等級を決めても設計がすぐに決まらない理由」なのだと考えています。